子どもの矯正治療について

学童期の矯正治療は第一期矯正治療と第二期矯正治療の2種類に分かれています。第一期治療ではあごの成長の促進や抑制を行い、また、でこぼこの歯にならないようにあごの骨を広げたりします。第二期治療は、すべての歯が永久歯になってから(通常は中学生頃)行い、すべての歯がしっかりと咬むように個々の歯の位置を整えます。すなわち、第一期治療は骨の治療で第二期治療は歯の治療と言えます。(かなり大ざっぱな言い方ですが)
第一期治療を行うことによって、第二期治療で抜歯の可能性を減少させられることが最大のメリットです。

 

 

   

 

8歳 男児
主訴「前歯が変なところからはえてきた」
診断「上顎左側中切歯の異所萌出」

上顎に固定式拡大装置を装着し、上顎歯列を拡大しました。スペースが出来た後、前歯4本にブラケット装置を装着して歯並びを整えました。治療期間はおよそ1年半で、その他の咬合には特に問題が無かったので、一期治療のみで治療を終え、二期治療へは移行しませんでした。著しい異所萌出の場合、元の位置へ戻ろうとする後戻りのリスクがあるため、治療後も注意深い経過観察が必要です。
治療の費用は、毎回の調節料5,000円x18回程度を合計するとおよそ45万円くらいです。

詳しくは矯正治療の費用のページをご覧ください
 

 

歯の生え変わりを正常に導くことは、きちんとしたかみ合わせになるためにとても重要なことです。

あごの成長を促進したり、抑制したりすることが出来るのも学童期の時期だけです。この時期には歯の位置はもちろんのこと、あごの骨も変化します。
  

 





14歳 女性
主訴「前歯が出ていて口が閉じられない」
診断「口唇閉鎖不全を伴う上顎前突」
 
上下顎左右第一小臼本4本を抜歯、上下顎にマルチブラケット装置を装着し、上下の前歯を後ろに移動しました。治療期間はおよそ2年6か月でした。すべての患者さんでこのような良好な変化が期待できるわけではありませんが、この患者さんでは前歯を後ろにさげたことにより口が閉じやすくなり、口元の改善が得ることが出来ました。
歯に装置をつけることにより歯磨きがしにくくなり、この患者さんのように歯肉炎のリスクがあります。幸いにも治療後には歯肉炎は改善し、虫歯も発見されませんでしたが、矯正治療中はブラッシングがとても大切です。
治療の費用は、毎回の調節料5,000円x30回程度を合計するとおよそ80万円くらいです。
 
詳しくは矯正治療の費用のページをご覧ください
 

 

出っ歯の時には、上のあごの成長を抑制する治療をします。受け口の時には、上のあごの成長を促進し、下のあごを抑制します。あごの骨の治療なので顔立ち、口元が改善するのです。
  

 



8歳 女児
主訴「下あごが出ている」
診断「上顎の劣成長による骨格性下顎前突」
 
上顎に可撤式プレート装置を装着し、フェイスマスクという上顎前方牽引装置により上顎骨の前方成長を促進。反対咬合による前咬みも改善され、およそ2年間の一期治療を行いました。主訴である反対咬合が改善され、咬合に特に問題が無かったので、二期治療へは移行しませんでした。この患者さんでは、良好な治療結果、顔貌の改善が得られましたが、反対咬合の場合には注意が必要です。思春期成長の時期に下あごの成長が強くて、再度反対咬合になってしまうリスクがあるのです。そのような場合には二期治療が必要となったり、抜歯治療さらには外科手術が必要となる場合があります(とても稀ですが当院の患者さんでもいます)。ですので、反対咬合がいったん治ってもその後の注意深い経過観察が重要です。
治療の費用は、毎回の調節料5,000円x24回程度を合計するとおよそ55万円くらいです。また、経過観察後に二期治療へ移行した場合の費用は30万円くらいです。

詳しくは矯正治療の費用のページをご覧ください